柿は秋の風物詩とも言えるフルーツです。
渋味が苦手な方もいらっしゃるかもしれませんが、最近では品種改良が進み、甘くて美味しい柿がたくさん手に入ります。
生で食べるのはもちろん、料理にも大活躍する食材です。
さらに、美容にも良いので、特に女性にはぜひ取り入れてほしいフルーツです。
今回は、そんな柿の魅力について、歴史や種類、美味しい柿の見分け方や保存方法、さらにはレシピまで、詳しくご紹介します。
これから詳しくご紹介します。
柿ってどんな果物?
柿はカキノキ科に属する落葉樹の果実です。
山地で自然に育ちますが、日本の気候にぴったりで、昔から広く栽培されています。
正岡子規の有名な俳句「柿食えば 鐘が鳴るなり 法隆寺」にも登場するように、柿は俳句の季語としても親しまれ、日本の秋を象徴する果物です。
日本では沖縄県以外の全ての都道府県で栽培・出荷されており、栽培面積と収穫量が最も多いのは和歌山県です。
次いで奈良県、福岡県、岐阜県、愛知県が続きます。
品種によって異なりますが、柿の旬は主に9月から12月で、特に10月から11月には多くの品種が店頭に並びます。
柿の歴史について!柿は昔から日本にあったの?
柿は昔から日本人と深い関係がありました。
原産地については中国や日本、朝鮮半島など諸説ありますが、柿は人類が誕生する前から存在していたとされ、日本では縄文や弥生時代の遺跡から種が見つかっていることから、非常に古くから食べられていたと考えられています。
また、古事記や日本書紀にも柿の名前が記されており、現在のような大きな柿は奈良時代に仏教を通じて中国から伝わったとされています。
当時の柿は渋柿で、熟したものや干し柿として利用されていました。
特に祭祀に使われることが多く、甘いものが少ない時代には栄養価の高い甘いものとして、冬場の糖分補給に重要な役割を果たしていました。
本格的な栽培は鎌倉時代頃から始まり、甘柿が誕生しました。
これは日本固有のもので、世界最古の完全甘柿とされています。
江戸時代には次々と品種改良が進み、明治時代からは農産物として広く普及しました。
さらに、日本の柿は江戸時代後期にヨーロッパへ、明治時代前期に北アメリカへと伝わり、学名にも和名の発音と同じ「kaki」が使われ、海外でもそのまま「kaki」と呼ばれています。
柿の種類について!渋柿と甘柿、それぞれどんな品種があるの?
柿の品種は非常に多く、1000種類以上あると言われています。
日本で品種登録されているのは66品種、そのうち登録が維持されているのは23品種です(2019年10月時点)。
柿は大きく甘柿(あまがき)と渋柿(しぶがき)に分けられます。
甘柿の代表的な品種には「富有」「次郎」「太秋(たいしゅう)」「西村早生(にしむらわせ)」があり、渋柿には「刀根早生(とねわせ)」「平核無(ひらたねなし)」「西条」「蜂屋」などがあります。
それぞれの品種について詳しく見てみましょう。
甘柿ってどうして甘いの?代表的な4つの品種をご紹介
普段私たちが食べている柿のほとんどは甘柿ですが、もともとは渋柿しかありませんでした。
甘柿は渋柿から突然変異で生まれたものとされています。
未熟な時は渋みがありますが、熟すにつれて自然と渋みが抜け、甘味が増します。
柿にはタンニン(シブオール)が含まれていますが、甘柿に含まれるタンニンは水に溶けない不溶性です。
そのため、口に入れても渋みが溶け出さず、甘さを強く感じることができます。
つまり、甘柿は突然変異でタンニンの性質が変わった柿です。
そして日本独自の品種として定着し、世界中で栽培されています。
甘柿には、成熟すると渋みがなくなり常に甘味を感じられる完全甘柿と、種子の有無や量によって渋みが残る不完全甘柿の二つがあります。
富有柿(旬:10月下旬~11月下旬)
岐阜県原産で、主な産地は奈良県、岐阜県。晩生種の代表的な完全甘柿で、全国の柿の生産量の60%を占め、甘柿の王様とも呼ばれています。
皮に光沢があり、丸に近い四角形で、なめらかで甘味が強く、ジューシーでとろけるような柔らかさが特徴です。
次郎(旬:10月下旬)
静岡原産で、主な産地は愛媛県、静岡県。江戸時代から栽培される晩生種の完全甘柿。四角張った形で、果肉はややかたく果汁も少なめ。
「富有はあごで食べ、次郎は歯で食べる」と比較され、歯ごたえを楽しむことができる柿です。
太秋(旬:10月上旬~11月中旬)
富有柿をベースに「次郎」と「興津15号」を掛け合わせて生まれ、1995年に品種登録された完全甘柿。
主な産地は熊本県、福岡県。大きなものは500gを超え、サイズが大きくサクサクとした食感が特徴。
果汁が多くジューシーで、糖度も17~18度と高く、甘味の強い柿です。
西村早生(旬:9月上旬~10月上旬)
滋賀県大津市で発見された柿で、「富有」と「赤柿」との自然交雑で生まれたとされ、1960年に「西村早生」と名付けられました。
主な産地は福岡県、岐阜県、鹿児島県。
早生種で、9月上旬から食べられ、最も早く熟す柿として人気があります。
西村早生は不完全甘柿で、種が多いほど果肉に黒い斑点(ゴマ)ができ、種が4つ程度入ると渋みが抜け、甘くなります。
生育条件により渋が残ることもありますが、現在では甘渋判定機でチェックされるため、渋い柿に当たることはほぼありません。
果実は220gほどで、果肉はかたく果汁は少なく、粘り気が強いのが特徴。
カリカリした食感で、さっぱりした味を楽しめます。
渋柿はどうして渋いの?代表的な4つの品種を紹介
渋柿はその名の通り渋みのある柿です。
渋味の原因はタンニンという成分で、渋柿に含まれるタンニンは水溶性なので、そのまま食べると口の中で溶け出し、渋味を感じます。
そのため、干し柿に加工されたり、炭酸ガスなどで渋抜きされて生食用として出荷されます。
刀根早生(旬:8月上旬~10月上旬)
刀根早生(とねわせ)は、平核無の変種で、1980年に登録された渋柿です。
見た目は少し大きめで扁平な四角形をしており、種がありません。
早生種の中では日持ちが良い品種で、主な産地は和歌山県と奈良県です。
果肉はほどよいかたさがあり、ジューシーでまったりとした甘味が特徴です。
平核無(旬:10月中旬~11月上旬)
新潟県原産の平核無(ひらたねなし)は、平たくて種のない柿という意味があります。
種なし柿として知られており、主な産地は山形県、和歌山県、新潟県です。
地方ごとに「庄内柿」や「八珍」などの呼び名があります。
種がなく食べやすく、柔らかい肉質で果汁が多く、まろやかな甘さが特徴です。
生食のほか、干し柿用としても人気があります。
西条(旬:10月上旬~11月上旬)
西条(さいじょう)は広島県の西条が原産とされ、中国地方で作られてきた渋柿です。
主な産地は島根県、岡山県、鳥取県で、形は細長く4つの溝があります。
ほどよい固さで、渋抜きすると上品な甘さになります。
干し柿としても美味しく人気があります。
蜂屋(旬:10月下旬~12月上旬)
蜂屋(はちや)柿は岐阜県美濃加茂市蜂屋町で古くから作られてきたことからその名があります。
主な産地は福島県、長野県、宮城県、岐阜県です。
大玉で先が尖った形をしており、一部種が入っているものもあります。
干し柿の材料として最も美味しい品種の一つとされ、岐阜県美濃加茂市の干し柿は「堂上蜂屋柿」、福島県では「あんぽ柿」として全国的に有名です。
イスラエル産の渋柿!?シャロンフルーツって何?
珍しい輸入柿にシャロンフルーツがあります。
これは品種名ではなく、イスラエル産の渋柿の登録商標です。
収穫時期は日本と同じく10~11月頃ですが、収穫後に渋抜きしてから出荷され、船便で約1か月かけて輸送されるため、市場に出回るのは1月中旬~2月中旬頃になります。
日本の柿より小さめで甘味が強く、種がなく皮が薄いので、洗ってそのまま食べることができます。
欧米でも人気が高く、アイスクリームやヨーグルトと一緒に食べたり、サラダにするなど様々な食べ方で楽しまれています。
日本の柿とはまた違った美味しさを感じることができるので、見かけたらぜひ一度試してみてください。
柿の栄養!医者が顔色を変える理由とは?
「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるのは、柿がビタミンC、A、K、B1、B2などを豊富に含む、まさに天然の総合ビタミン剤だからです。
主な栄養素と期待される効果は以下の通りです。
他にもさまざまな栄養素が含まれており、秋から冬の季節の変わり目に体調を崩しやすい時期にぴったりのフルーツです。
代表的な甘柿と渋柿を紹介!栄養や効果についても まとめ
ここまで、甘柿と渋柿についてご紹介しました。
参考になれば嬉しいです。